水産学を学んできた人と話していて、水産生物や養殖などについては詳しく知っているが、それがどのように流通されているか知らないという人を多く見かけました。そこで今回は水産物流通についての簡単な説明と日本の水産流通が直面している課題について書きたいと思います。
日本では上図のように多種の経路で水産物が生産者から消費者に届いております。
本来であれば輸入品や商社についても書かなければならないと思いますが今回は割愛します。もっとわかりやすい図が埼玉県のHPにあるのでそちらをご確認ください(https://saitamauoiti.co.jp/fishmarket/marketfunctions/)。
さて、古来日本の水産物流通経路としては生産者→産地卸売市場→消費地卸売市場→仲卸→小売り→消費者が基本でした。しかし、ご覧の通り生産者から消費者に届くまで4段階の業者を挟んでおり、その結果マージンがかさむ、消費地価格への転嫁が行われてきました。近年では、少しでも間に挟む業者を減らそうと中抜き流通を行っている業者も多くいます。
マージンが増える流通経路でなく「生産者から消費者に直売する方法」を推し進めるべきだと主張する方もいますが、そう単純な話ではございません。少量の魚を地元民に売るといった形であれば問題ないですが、大漁であったときなんかは直売ではとても売りさばけません。販路を確実に有する「市場」に委託・販売することが非常に重要となってきます。「市場」の機能としては集荷し、売りさばく機能や、漁獲した魚をすぐに現金化する決済化機能など多種多様な機能を果たしています(詳しくは「ポイント整理で学ぶ水産経済」などの書籍をご覧くださいhttps://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784892900181。)
公務員試験の論述問題で「生産物の付加価値をつけるためにはどのような工夫が必要か」などの問題が過去にありました。その手段として「直売を推し進める」、「中抜き流通をすすめる」などを記載する方もいるかと思います。試験的には「あり」の考えかもしれませんが、実際にそれが正しいかはよくよく考える必要がありそうです。
(付加価値をつける解答例として、Fish sale等ウェブを通じた直売の促進や、生産者が民宿をする等の6次産業化を推し進める補助事業を行うなどは非常に書きやすいですが、自分で書いてても安易に感じます。)
水産物の流通については水産業界では一般常識であるのと、論述試験で書く上での基礎知識になりうるので簡単でもいいのでどこかでおさらいしときましょう。
おわり
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